円について
頭に中だけに存在する完全な円 イデアの円を思い描いてみてください
すでに完璧に存在しています
円を作図したり コンパスで描いたりしなくても存在しています
頭の中の円は人間の行為(作図)を必要としていません すでにあるのです
これに比べて 現実世界の円は コンパスなどで作図したり 多角形で無限に近似したりと
なんらかの行為がなければ存在することができません
しかも不完全なかたちで
どんなに正確にコンパスで円を描いたとしても
円を描いたりしているうちに線がずれたり ペンの先が磨耗して線が太くなったりしてしまいます
そもそも線とは 幅のないもの なので 目で見ることができないのです
目で見られる円は 幅のある線(の様なもの)で描かれた円です
イデアの世界の完璧な円と 現実世界の円の根本的な違いは何でしょうか
ギリシャ時代からいろいろ言われていますが
わたしは すでに存在している円と 構成しなければ存在しえない円 ということに尽きると思います
前者に時間概念はありません ただただ永遠に存在しているのです
後者は時間の中にしか存在しえません 円を描くという行為 多角形を構成して無限に近づけるという行為
どんな行為であれ行為 行動は時間の中にしか存在しえません
当たり前といえば 当たり前のことですが
たとえば 円周率πを考えて見ます
πはこの世に存在しません
イデアにすでに完璧に存在するものです
つぎに3.1415...の無限小数を考えて見ます
これはこの世のものです
多角形近似などによって代数的に計算して求めていけます
代数計算(式の計算)は時間の中に存在する 行為です
この計算は永遠に止まることがありません 永遠に続く行為は存在物とはみなされません
数学ではこのイデアの完璧な円周率πと現実世界の中で構成された円周率πを同一物だとみなし
π=3.1415...
とするのです
永遠の存在物と永遠に続く行為をイコールで結ぶのです
感覚的に結びつくはずのないものを結びつけるのです
そして 現実世界の無限につづく行為(代数計算)の極限として
πを捕らえるのです
解析学は他の数学の分野よりも現実世界の要請から生まれたものだと思います
微分法はニュートンが重力法則を記述するために生まれました
微分 極限 無限などの概念は
イデアの存在物と現実世界の行為を結びつけることから発展したのかもしれません
次回は 円の構成の仕方を具体的に見ていきましょう