KENT概説 

はじめに

前記事において、12KENを展開し、20KENというものを構成することによって、正12面体問題を解決し、頂点もノードも和音になっているという、とても興味深い結果を得ることができました。
12KENが、とてつもなく高い対称性を持っているという証拠を改めて示すことができたわけですがこの12KENの情報展開を、12以上の任意のnKENに対して行うと、どのようになっているのか一般的な状況を調べる必要があります。
今回の記事は、この任意のnに対するKENの一般理論についてのものです。
今後、精密に理論を展開していく上でどうしても欠かせないステップですので、その概要を直感的イメージが湧きやすいように記事にし、細かい証明などの詳細は、いずれ論文にまとめ、しかるべきところに提出するつもりです。
また、本記事は、KENT研究の指南書でもあります。
どのような現象が起こり、どのように研究していったらいいのか?そういったことをできる限り明らかにし、皆さんと問題意識を共有出来るように執筆したつもりです。
KENTを詳細まで研究し尽くすには、もはや私一人では不可能です。
群論の専門家や位相幾何学の専門家に手伝っていただけたら大変助かります。
また、私はこのホームページを、100年後の未来人が見たとしても恥ずかしくないような内容に仕上げるつもりで書いています。
もちろん、暫定的に進まざるを得ないところはありますから、後に解釈を修正することはあろうかと思います。
しかし、大筋で理論体系は崩れないと自負しております。
例えば、前回において”DNA音程”という、ちょっと挑発的な文言を使いましたが、DNA音程という言い方がおかしいと思って変更したとしても、理論体系は全く崩れないというように構成してあります。
DNA音程とは、いわば、形式公理系における無定義語に過ぎないということです。
解釈問題は、後からいくらでも修正可能であり、そんなことよりも大事なことは、諸概念間における関係性を明らかにすることです。
KEN構造の公理的研究がそれを可能にします。

まず、本記事のメインテーマであるKENTの基本定理(オニョ予想)を概観します。
まだ完全な証明に至っておりませんので、オニョ予想ということにしておきます。
絶対に成り立つことが解かっていたとしても、証明できるかどうかは別問題です。
少なくとも、KENというものを、証明すべき定理の形に表現することができたことは研究の一つの到達点と考えてよいでしょう。
問題を立てることは、問題を解くこと以上に独創性を要求されます。

次にKEN展開、KENの既約表現などの概念について整理しながら、6つのコード周期について、直感的な図を用いて説明をしていきます。
いろいろな解釈にも触れますが、今は、KENの持つ構造の本質を抽出することが先決ですので、そのような解釈にあまり振り回されないようにしてください。
解釈は、研究が進むにつれ自然と明らかになってくるでしょう。
一般のKENの構造解析には、もちおアルゴリズムを用いたKEN計算プログラムが大活躍しました。
前回の20KEN構造を手書きで計算していた様子が、ボタン一つで再現されます。
n~1000までのあらゆるnKEN展開の様子が画像出力されるプログラムです。
このプログラムはオープンソースに致しますので、興味のある方は、ダウンロードしてお使いいただけます。
難しいと思える今回の記事内容も、このプログラムで起こる現象の観察結果を端的に表したに過ぎません。
記事を読んで理解することに抵抗のある読者は、是非、KEN計算プログラムで”遊ぶ”ことをお勧めいたします。

このプログラムを調べていくと、明らかな法則性が浮かび上がっていくのですが、それらをまとめたものをKEN Theory、略してKENT(ケント)と呼ぶことにします。
だって長いですからね~

KENT:Kethe Ether Network Theory

一見、合同算術と何が違うんだ?と思われる方もおられるでしょう。
しかし、12KENが持つ共鳴位相的ネットワークが効いて、とても美しい構造を持つことが明らかになります。
また、その共鳴位相的ネットワーク構造である、ノード計算などのKEN特有の性質により、合同法算術だけでは証明不可能な定理が存在します。

本記事のメインテーマである”KENTの基本定理”もその一つです。
この定理の証明に必要な概念を用意し、定義、定理の意味するところ、証明の基本となるアイデアなど、いろいろな図を用いて直感的説明を試みたいと思います。
内容が大変抽象的であり、今までの記事よりも、なお一層難解になってしまったかもしれません。
物事を厳密に述べることができる代わりに、瑞々しいKENの直感的イメージが消えてしまったかもしれません。
しかし、これが、地球から眺めたKENの姿なのです。
もちろん、地球から眺めたという比喩は、”前頭葉認知に立ったKENの見え方”という意味です。
KENのアルザルからの眺めは、全く異なっているでしょう。
それは、美しい音楽であったり、絵画であったり、直接、後頭葉に響く形で表現されるでしょう。
地球とアルザルを繋ぐという私の愚かな試みは、うまくいっているのかどうかも分かりませんが、12KEN、12KENから20KEN、そして、KENTへと記事が進むにつれ、表現自体が徐々に変容していることにお気づきになられるでしょう。
この表現の変容自体が、アルザル(右後頭葉以下の身体)から地球(左前頭葉)へと続く次元トンネルの景色の変容とも言えます。
私が抱くささやかな人類愛をこの愚かな試みの中に凝縮したつもりです。
また、厳密な証明などは、誰かのためというより、私自身の”良心の納得”のためであり、”神に対する捧げもの”という側面が強いです。。
ですが、このHP記事に於きましては、みなさんに理解して欲しいと思い、精一杯解りやすいように、かみ砕いて書いたつもりです。
記事が難しくてわからないという読者の方も、最後のまとめの章だけは読んでいただけるとオニョとしてはうれしい限りでございます。(まとめへ)
どうぞ、よろしくお願いいたします。

謝辞:今さら言うまでもなく、山田貢司さんとの日々の共同考察に負うところが多大にあります。
まだまだやることはたくさん残っておりますが、日々の感謝を込めまして、ここに謝辞申し上げます。
また、本記事の執筆は、20年来の共同研究者である廣國善紀氏(セレブニート)の協力なしには不可能でした。
私の手計算により、おぼろげながら見えてきたKENの姿が、彼のKEN計算プログラムによって、ハッキリと眼前に映し出されたのでした。
無理な要求にも屈することなく支えてくれましたことに感謝申し上げます。
これからもよろしくお願いいたします。                       

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第1章 KENTの基本定理概観

KENTの基本定理の証明が、本記事のメインテーマですが、本節では、その定理の意味するところを、直感的なイメージが湧くように説明していきます。
また、KEN計算プログラムを使いながら、この節をお読みいただければ、理解がぐっと深まると思います。
まずは、KENTの基本定理を見てみましょう。

[KENTの基本定理]KEN展開において、6つのコード周期を不変に保つ12KENはCopと5opのただ二つに限る。また、Copと5opを同時に含む12KENは存在しない(Sopの背反定理)

「たくさんある12KENの中で、ある性質を満たす12KENは二つしかない」

というようなことを言っています。
そして、ある性質とは、「KEN展開において、6つのコード周期を不変に保つ」というものです。

実は、研究を進めていくうちに解ってきた事なのですが、12KENの発見も奇跡的だったのですが、20KENにうまくKEN展開できたことも、それ以上に奇跡的だったのです。
なぜ、それが奇跡だったのかを示すことができれば、この陳述がKENTの基本定理と呼ぶにふさわしい定理であることがお解りいただけると思います。

1-1 12KENは一つではない

BKETに従いさえすれば、頂点の配置(以下、頂点ループ)やノードの組み方で可能な12KENはいくらでも構成することができます。

(問題:構成可能な12KEN の個数を求めよ。頂点の並びだけでも、その順列の組み合わせは~~通り考えられる。)

*BKET:Basc Kethe Ether Table(基本12ケスエーテル表)の頭文字をとった略称。ビーケットと読む。

(レジュメ1)

(レジュメ2)

1-2 20KENの発見も偶然であったこと
~20KEN展開でコード周期がオーギュメントになったことは偶然であったこと~

実は、たまたま頂点ループをクロマティックスケールに並べたことで、コード周期という概念が発生したことが後に解りました。
もっと一般的な状況を考えて、ランダムに12頂点を別の並びにしていたとしたら、6つのコード周期に何らかの意味を見出すことができなかっただろうと思います。
そして、任意のnに対するnKENのコード周期が6つしかなく、全て音楽的に意味を持つことの発見も遅れたことと思われます。
ここにおいて、音楽理論の必然性が明らかになったとも言えます。
音楽家が無意識に理解していたであろう論理的必然性を、KENTを考えることで、数学的にも保証したことになります。(レジュメ3)

(レジュメ4)

1-3 コード周期が不変になるという現象
~KENプログラムにおいて、頂点ループが上昇クロマティックスケール、下降クロマティックスケール、5度進行、4度進行の並びの時に限り、コード周期が不変になるという現象~

任意のnに対するKENの展開を知るために、KEN計算プログラムを構築したのですが、このプログラムを観察していきますと、大変不思議な現象にぶつかりました。
それが、12KENの頂点ループの並びで、以上の4パターンの時のみ、頂点のコード周期が全く同じ結果になっていたことです。
はじめは、クロマティックスケール以外で、5度進行ではどうなるだろうか?というようなノリで調べていたのですが、いろいろと調べてみると、この4パターンしかないことが解かりました。
この4パターンは、半音数が1,5,7,11の進行であり、1が上昇クロマティック、11が下降クロマティック、5が4度進行、7が5度進行に対応していることが解かります。
12と互いに素な4つの数が、それぞれ対応していることが解かります。
また、上昇クロマティックと、下降クロマティックとは、回転進行方向を変えただけであり、本質的に二つは同じ頂点ループと考えていいはずです。
4度進行と5度進行も同様に考えますと、頂点のコード周期を不変に保つ頂点ループは、本質的に二つしかないことが解かります。(レジュメ5)

(レジュメ6)

以上が、KENTの基本定理の内容です。
この定理は、KEN計算プログラムの任意のnKENに対して成り立つ法則を端的に表したものです。
どれだけ具体例をあげつらうよりも、強力な言明と言えます。
基本定理と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか。

第2章 KENTの諸概念、および定義

KENの一般理論を展開するにあたり、KEN特有の言葉や概念に正確な定義を与えておく必要があります。
ここでは、正確さはいくらか犠牲にして、直感的な説明を試みます。(論文PDF参照)

2-1 KEN展開

12KENを20KENに展開した詳細が前記事のメインテーマでした。
この展開方法を、任意のnKENに拡張するのがKEN展開の意味です。
13KENや14KEN、あるいは256KENなどを12KENから展開していく操作を指します。
直感的には明らかであると思いますし、KEN計算プログラムを参照していただければ、すぐに何のことであるか、わかると思います。(レジュメ7)

KEN計算プログラムの出力例(76KEN)
2-2 6種類のコード周期が織りなす構造

12KENから20KENへの展開を、任意のnにおけるnKENに一般化してみます。
この時、どのような状況になっているのか一つ一つ検証していきたいと思います。

その前に、コード周期の言葉の意味について触れたいと思います。

定義(コード周期)
12KENの頂点ループをどのようにとったとしても、KEN展開をすると各頂点が6の周期を持ちます。
また、その6つの周期が音楽的に意味を持つとき、その周期のことをコード周期といいます。
また、nKENの頂点数はn個ですが、和音周期が同じ頂点の周期のことを頂点周期といいます。

コード周期×頂点周期=12

という関係が常に成り立ちます。

*12KENをKEN展開した時に、各頂点が3和音になったり、4和音になったりします。
そのn和音の自然数nの値をコード周期といっているだけです。(レジュメ8)

音楽的に意味を持つとは、

コード周期1(ST:単音)
コード周期2(ODD2:6半音関係の2音)
コード周期3(AUG:オーギュメント)
コード周期4(DIM:ディミニッシュ)
コード周期6(HT:ホールトーンスケール)
コード周期12(CH:クロマティックスケール)

になる時のことを言います。

音楽的に意味を持たないとは、これ以外のコード周期を一つでも持つ時に言います。
12頂点の配置を変えれば、当然、6つのコード周期の音の組み合わせが変わります。
どのような音の組み合わせであっても、上記以外の組み合わせはコード周期とは言わないことに注意してください。
また、12頂点をどのように配置したとしても、コード周期は必ず6つあることに注意してください。

(Remark)頂点ループが12と互いに素な関係である1、5,7,11に対応し、コード周期が12の約数関係になっていることに注意してください。12音階の必然性の現れの一つといっていいでしょう。
KEN展開という概念があって、初めて、このような必然性(無意識的には音楽家には知られていたこと)を語ることができるのです。

それでは、KEN展開における6つのコード周期を具体的に見ていきましょう。

◇12KEN(レジュメ9)

まず、12KENですが、これは、点もノードも単音(single tone)です。
一般に、nKEN (n=[0]mod12)の時、コード周期は1であり、全てこのような状況になります。

以下、ノードに関しては、図形が煩雑になるため、大外枠のノード以外は画像に反映させていません。
このノードがどのようになっているかは、ノード計算プログラムで確認できます。
また、ノードリンクの詳しい解析には、後述のオニョロジーが必要です。

◇13KEN(レジュメ10)

次に13KENです。
コード周期は12です。
これは、全ての点がルートを無視すれば、同じクロマティックスケールになってしまいます。もはや、和音ではなくノイズになってしまい、しかも、すべての13頂点が類別不能になり、単なるノイズの塊になってしまいます。
驚くべきことなのですが、このときノードの和音周期も12となり、全ての頂点とノードがクロマティックスケールのノイズの塊になっています。
一般に、nKEN(n=[1,5,7,11]mod12)の時、コード周期は12であり、全てこのような状況になります。
13という素数が表すKEN構造の特徴でもあります。
共鳴できるが、一塊として認知せざるを得ないので、物質とその認知に関係するのではないかと考えています。
また、コード周期は、全6種類あり、頂点のコード周期とノードのコード周期は一致します。
こんなことが起きるのは、12KENの構成が驚くべき対称性を持っているから可能なのです。
もし、12KENの点とノードのつなぎ方が一本でも違えば、こんなことは起こらないことに注意してください。
如何に、12KENが特殊な構造体なのかご理解いただけるのではないでしょうか?

◇14KEN(レジュメ11)

14KENです。
コード周期が6になります。
二つのホールトーンスケールが交互に現れるパターンです。
ホールトーン和音もノイズの塊と認知するはずですが、これが位相を変えて二つの状態を行ったり来たり明滅しています。
脳内電位パルスの生成に関係があるのではないかと考えています。
一般に、nKEN(n=[2,10]mod12)の時、コード周期は2であり、全てこのような状況になります。

◇15KEN(レジュメ12)

15KENです。
コード周期は4です。
ディミニッシュコードといわれているものになります。
ノードも全てディミニッシュコードで構成されています。
一般に、nKEN(n=[3,9]mod12)の時、コード周期は4であり、全てこのような状況になります。

ディミニッシュでの類別は、3種になってしまい、これによって、DNA4つの塩基に対応させるには論理的に矛盾してしまいます。
この3種の類別が、外在宇宙の何に対応しているのか、今のところわかりませんが、3パラメーターの何かです。
3次元空間の基底なのかもしれません。
前記事でも申し上げていますが、意識、振動がこの宇宙を創っており、脳がこのような物質宇宙に見せているであろう機構を暴こうとしています。
ここが理解されないと、私のやっていることはキチガイにしか映りません。
しかし、単純な振動から、3パラメータの独立基底を作り、それに、何らかの脳内認知を付け加えれば、3次元が生み出されると考えるのは別に変ではありません。
なぜって?
ヴァーチャルリアリティーを作るプログラマーと同じことをしているだけだからです。

◇16KEN(レジュメ13)

16KENです。
コード周期は3です。
オーギュメントコードといわれているものです。
実は、DNA音程は16KENでも可能です。
にこぷ~の神託によるDNA生成の描写は、こちらのほうが近いと感じます。
しかし、16KENでは5の因子が作ることができず、また、正12面体の頂点数20と整合しないため、DNA音程から除外していました。
一般に、nKEN (n=[4,8]mod12)の時、コード周期は3であり、全てこのような状況になります。

◇17KEN

n=素数の時、全てクロマティックスケールになるので、状況としては13KENと同じノイズの塊であり頂点数とノード数が増えるだけです。

◇18KEN(レジュメ14)

18KENです。
コード周期は2です。
半音関係を省いた共鳴順位が最も低い2音同士の組み合わせです。
一般に、nKEN(n=[6]mod12)の時、コード周期は2であり、全てこのような状況になります。

以上、6種類のコード周期が織りなす構造全てを見たことになります。
この先、頂点数やノード数が増えてはいきますが、基本的に、全てこの6パターンに集約されます。
例えば、28KENですが以下のようになります。(レジュメ15)

このように、28KENはオーギュメントタイプということが解かります。

ここで以上の状況説明のまとめをしておきます。

6種のコード周期は以下の表から直ちにわかります。
単なるmod12で類別しただけのように思えますが、コード周期というものを考慮に入れると以下の6種類に類別されます。(レジュメ16)

6種類のコード周期表

このコード周期表で任意のnKENが、どのタイプであるのかをすぐに調べることができます。
また、mod12の類別では見ることのできない対称性を見出すことができます。
12KENの類を中心に、類別が対称形になっていることが解かります。(レジュメ17)

コード周期の対称性

また、12KENと同じように、すべてのnKENのノードも実際にはつながっており、全てコード周期と同様な和音ノードで構成されています。(レジュメ18)

ノード周期を計算するプログラム

(Remark)何度も言いますが、こんなきれいな結果になるのは12KENを構成することができたからなのです。
それを構成するために12基本ケスエーテル表があり、その12基本ケスエーテル表に至る発想がROSやRORなのです。
つまり、こういう考えなしには、半永久的に12KENを見出すことは出来ず、それをもとにした一般nKENの構造も見つけることは出来ないのです。
単なる合同法演算ではこのような結果は絶対に見いだせないことに注意してください。

2-3 KEN展開におけるノードの挙動

KEN展開において、頂点のコード周期が6種あることを見てきました。
同様に、各ノードに関しましても、コード周期が6種あります。
このとき、12種ある12KENのBKETが、その約数個に縮退するという現象が起こります。
KEN展開して、頂点もノードも和音構成することから、その構成要素の対称性が高くなり、類別不能になることにより、このような現象が起こります。
そういう意味において、もっとも共鳴度の低いコード周期12のクロマティックタイプのKEN展開が、ノードの入れ替えに対して対称性がもっとも高くなります。

音楽的な協和関係とノードの入れ替え不変性における関係は、どちらかの対称性が高くなると、もう片方の対称性が低くなるという関係になっています。
それでは、6種のコード周期に対応する、6種のBKETについて見ていきます。
まずは、12KENを構成したBKETです。(レジュメ19)

12BKET

12KENをKEN展開した時に、もう一度、BKETに分解することによって、和音ノードの様子が理解できます。

2和音タイプの6BKETです。(レジュメ20)

6BKET

(レジュメ21)

6種のBKETがあるため、12BKET、6BKETという言い方をします。

12BKET(ST)、6BKET(2ODD)、4BKET(AUG)、3BKET(DIM)、2BKET(HT)、1BKET(CH)の6種であり、4BKET、3BKET、2BKET、1BKETは以下のようになります。

4BKET(AUG)、オーギュメントタイプのKEN展開です。16KEN、20KENがこれに当たります。(レジュメ22)

4BKET

和音頂点と和音ノードを一つの色で表すと、複雑なノードリンクが一目瞭然となります。(レジュメ23)

3BKET(DIM)、ディミニッシュタイプのKEN展開です。15KEN、21KENがこれに当たります。(レジュメ24)

DIMタイプのノードリンクはこのようになります。(レジュメ25)

2BKET(Hall tone)、ホールトーンタイプのBKETです。
これは、4BKETをさらに二つ重ねた関係になっています。(レジュメ26)

ホールトーンタイプのKEN展開は以下のようになります。
14KENなどがこのタイプです。(レジュメ27)

1BKET(CH)、クロマティックタイプのKEN展開です。
13KENなどがこれに当たります。(レジュメ28)

クロマティックタイプのノードリンクはこのようになります。(レジュメ29)

ノードの入れ替え不変性が増えるほど、リンクの仕方に任意性が生まれます。
このような現象を詳細に調べていくには、群論的研究が必要であり、今後の課題ですが
ここでは、現象の観察に留め、どのように研究していけばよいのかの示唆を与えます。
たとえば、CHタイプのノードリンクに関しては、一種類のノードしかないため、これは本質的には普通の位相幾何学的な一筆書き問題になります。
後述するマルチオイラーグラフではなく、ただのオイラーグラフの問題になります。
しかし、他のタイプのノードリンクに関しては、マルチオイラーグラフになっているため
普通のオイラーグラフにはない状況が生まれてきます。
これらを子細に調べるためには、マルチオイラーグラフというものを考えなくてはなりません。
マルチオイラーグラフは、オイラーグラフの一般化した概念で、KENTの基本定理の証明に必要になってくる概念です。

*これ自体、新たな数学概念なので、自分で作っていかなくてはなりません。
もし、すでにある概念であるならば、それを使いたいのですが、調べたところなさそうです。

また、各ノードの総数、和音ノードの総数やコード周期なども同時に調べることができます。
面白いことに、ノードの総数は、nの値が増えるたびに、全く不規則に増減するのですが、和音ノード数は、nが一つ増えるごとに、4本ずつ増えるという関係にあります。
このようなことも12KENが持つ構造の対称性から導き出される不思議な現象の一つです。(レジュメ30)

KENのノードの増え方

以上の考察により、任意のKEN展開における状況が全て出揃ったことになります。

2-4 KENの既約表現

前記事で12KENから20KENを展開しましたが、それは、60KENの既約表現の一つを考えたとも言えます。

○60KEN×1
○30KEN×2
○20KEN×3
○15KEN×4
○12KEN×5
×10KEN×6
× 6KEN×10
× 3KEN×20
× 2KEN×30
× 1KEN×60

○:KENとして定義される
×:KENとして定義されない

は、全て60KENと同じ意味ですが、KENは12KEN以上でしか定義できないため、10KEN以下はKENの表現に入れません。
KENの既約表現とは、このようなに、可能なKENの表現の総体のことを指しています。
nKENの既約表現は、nの可能な約数の組み合わせからなり、12以上のKENから構成されます。

2-5 KEN計算プログラム

これらの情報を元に、KEN計算プログラムを開発いたしました。
開発者はもちお君です。
本人は、気をよくしたのか、自ら考案したKENアルゴリズムを”もちおアルゴリズム”と呼んでいます。
かわいそうなので、みなさん、そう呼んであげてください。
このKEN計算プログラム、かなり秀逸です。
この3ヶ月余りの研究は、このプログラムなしでは到底不可能でした。
毎日のようにヴァージョンが更新され、今では、すべてのn=1~10000KENの状態がボタン一つで計算でき、n=200くらいまでなら画像出力も可能です。
KEN計算プログラムを実際に自分で使いながら、本記事を読むことをお勧めします。(レジュメ31)

KENの計算結果

KENの具体的な計算に慣れてきますと、いろいろな関係性に気が付いてきます。
それらの関係性を定理として証明を与えた理論体系がKENT(KEN Theory)です。

第3章 12KENの共鳴位相とオニョロジー同値

12KENの共鳴位相の構造を深く探っていきますと、どうやら、本質的に二つのパターンの共鳴位相構造があるようです。
12KENは、ノード数が48(12音×4)、頂点数が12(12音×1)が、12基本ケスエーテル表(以下、BKET: Basic Kethe Eather Table)の規則に従ってつなげられた共鳴構造体です。
BKETの規則に従って、12KENを組み上げる可能性は、一つではありません。
例えば、頂点の配列を、クロマティックスケール(以下、CS)で時計回りにしたものと、5度進行(以下、5C)で時計回りにしたものとでは、全く異なる位相構造になります。
また、見かけ上、頂点の配置が異なるものの、本質的には同じ共鳴位相構造の12KENもあります。
このようなことを調べるために、ここで、共鳴位相幾何学の諸概念について、図などを用いてわかりやすい説明を試みたいと思います。

3-1 12KENのオニョロジー

定義[オニョロジー同値]
見かけ上異なった配置をしていても、ノードリンク(共鳴位相)を維持したまま変形可能な二つ以上のKENをオニョロジー同値なKENという。

ノードリンクを切断しなくては、変形不可能な二つのKENはオニョロジー同値ではありません。

*ノード数や頂点数が一致していることが前提であることは明らかであり、オニョロジー同値な概念は、任意のnKENに対して適応されるが、異なるn同士のKENには適応できません。

(レジュメ32)

オニョロジー同値な12KEN

(レジュメ33)

3-2 EG(Euler Graph)とMEG(Multi Euler Graph)

定義(MEG)
マルチオイラーグラフ(Multi Euler Graph)の略称。オイラーグラフの各頂点に対し、その頂点数と同数の種類の色分けされたノードを使い切るオイラーグラフのことをマルチオイラーグラフという。

m種×n(nは自然数)で、EGになっていれば、それはMEGになります。
例えば、12KENの場合、m=12で、Sopの場合、n=1になっています。(レジュメ34)

(レジュメ35)

以下の概念についても、直感的に理解できると思います。

定義(極小MEG)
極小マルチオイラーグラフの略。m種×n(n=1)のMEGのこと

定義(極大MEG)
極大マルチオイラーグラフの略。そのEGが許す最大のMEGのこと

定義(部分MEG)
m種×n(nは自然数)のMEGで、極大MEGよりも小さく、極小MEGよりも大きいものをさす。
そのMEGのことをnMEGと記す。

MEGのイメージです。(レジュメ36)

3-2 SopとMEG

定義[12スケールループ(sop:scale loop)]
12KENにおいて、12頂点を12種のノードで結ぶマルチオイラーグラフのことをSop(12スケールループ)という。

MEGの定義に従えば、Sopとは1MEGのことです。(レジュメ37)

ここで、MEGとSopとの違いについて言及しておきます。
MEGの場合、使い切るノードの数さえあっていれば、並び方は同音禁則さえ破らなければ、どのような順序で並べてもかまいません。
しかし、Sopは、ノードの並び方が決まっています。
例えば、2MEGは2Sop、ノード数はともに24ですが、Sopは1オクターブの並びが決まると、2オクターブの並びも同じでなければならないということです。
また、nスケールループも、同様に定義できます。
例えば、3スケールループ(3オクターブ)は、12種のノードを3本ずつ使い切り、12頂点を一筆書きするオイラーグラフのことです。
12KENの頂点から出ているノード総数が偶数であることより、オイラーグラフであることが解かります。

3-4 MEG分解

定義[MEG分解]
極大MEGは部分MEGの和で表すことができる時、これをMEG分解という。

例えば12KENの場合、極大MEGは4MEGです。

12KEN
=4MEG
=1MEG∐3MEG
=2MEG∐2MEG  (∐:MEGの直和を表す記号)

の3種の分解が可能です。
部分MEGのnMEGのnの値が素数の時、既約MEG分解といいます。(レジュメ38)

Meg分解

ここで、先の証明に必要となる重要な定理を用意しておきます。

[定理3‐4]12KENの可能なSopは1Sopのみである。

前節で、SopとMEGの違いについて言及しました。
12KENのMEGについては、1MEGだけでなく、2,3,4MEGまで存在します。
しかし、ノード順列を同じにするSopは1Sopしかないということです。

3-5 Copと5op

Sopの中で特に重要なCopと5opについて説明します。

定義[Copと5op]
Sopで、頂点の並びが、クロマティックスケールで時計回りのものをクロマティックループ(以下、Cop コップ Chromatic loop)、反時計回りのCopをCop-(コップマイナス)。
五度進行の並びで時計回りのものを五度圏ループ(以下 、5op ゴップ 5 cycle loop)、反時計回りの5opを5op-と呼ぶ。

(Remark)上昇クロマティックスケール、下降クロマティックスケール、五度圏、四度圏のKENにおける再定義です。12と互いに素である1,5,7,11の半音数がこれらを構成することに注意。

(レジュメ39)

Copと5op

(レジュメ40)

3-6 Sopの背反定理と2系統のKEN展開

定理3‐4から、直ちに、次の定理が成り立つことが解かります。

[定理3‐6(Sopの背反定理)Copと5opを同時に持ち得る12KENは存在しない

Sopの背反定理と、6種のコード周期を不変に保つSopが2種あることから、KEN展開には2系統存在することが結論されます。
このことを、端的に表したのが、KENTの基本定理です。

3-7 Copと5opのコード進行方向

Copと5opの概念区別ができますと、新たに、コード進行方向という見方が生じてきます。
6種のKEN展開において、それぞれ、異なった様相を示します。
コード周期1、およびコード周期12の場合は、コード進行の概念は生じないことに注意してください。(レジュメ41)

(レジュメ42)

(レジュメ43)

(レジュメ44)

これが何を意味しているのかは今後の研究により明らかにされてくると思います。
また、半音の起源を考えますと、それは、脳内観念側にしかないものであり、クロマティックスケールという概念そのものは、身体側には存在していません。
身体側はあくまで5度圏純正相対音の12回転であり、オクターブ以内に畳み込むということをしていません。
すると、Cop12KENと、5op12KENは根本的に異なる12KENと考えることができます。

KENという概念は、23,46次元トンネルの向こう(アルザル)側で定義される概念です。KEN展開をどのようにしても、それは変わりません。
しかし、23,46次元トンネルのこちら(地球)側に向かうときに、12KENは崩れていきます。
そして、その崩れ方が、Cop12KENと5op12KENでは異なることがわかります。
それは、5度関係における、ピタゴラス律と平均律の差は等しく2セントであり、一様に崩れていくことがわかります。

しかし、半音関係における純正律と平均律の差は、7つの全音的半音(短二度)は約90.225セント、5つの半音階的半音(増一度)は約113,685セント、その平均値は100セントというように、ピタゴラス律から平均律に移行するときに、23,46セントの崩れが一様に分配されないのです。
一見、何の違いも見せないCopと5opは、実は、23.46次元トンネルを通過する際に初めて、その違いを表すのです。
この視点は、今後重要になってくるでしょう。

第4章 KENTの基本定理の証明に向けて

もう一度、記事の冒頭にあげたKENTの基本定理に立ち戻りたいと思います。
前節までの説明で、このKENTの基本定理が何を意味しているかはご理解いただけたのではないでしょうか?

[定理4-1]KEN展開の際、6つのコード周期を不変に保つSopは、Copと5opとの2つのみである。

この定理を証明するためには、いくつかの段階を踏まなければなりません。
まずは、可能な12KENが一体いくつあるのかその総数を求めなくてはなりません。
次に、オニョロジー同値な12KENが一体いくつあるのかを求めなくてはなりません。

12KENの群構造を調べなくてはならないので、結構大変であることがわかります。
12KENの位数問題を難しくしている要因の一つは、 BEKTがそれぞれ独立していて、各BKET間の演算が定義できていないところです。

BKETにおいては合同演算はまったく役に立たちません。
それに加えて、部分群をなすわけでもないため、 力技でゴリ押しする以外の方法が、今のところ見当たらないのです。
何かしら部分群が定義できれば、剰余群から全体の構造も見えてくると思います。
この辺の問題の解決のために、Sop等のループの概念とMEGの概念があります。
SopとMEGがあれば、12KEN群構造の最小の構成が見い出せるはずなので、 そこから、一般のKEN、すなわち12KENの位数の問題にシフトするのが妥当な気がします。
案外、KENTの基本定理が示せれば、その帰結として、 12KENの位数問題が自然に導かれるかもしれません。

さらにその中から、Copと5opが任意のKEN展開において、コード周期を保つことをどのように証明するのか?
例えば、Copを一つ決めると、内部の位相構造は一意的か?など、次々と証明しなくてはならない問題があることに気が付きます。

また、オニョロジーを代数的に取り扱えるようにしなくてはなりません(図示は証明にならない!)。
明らかに成り立つとわかっているKENTの基本定理ですが、証明できるかどうかという問題は全く別なのです。
証明すべき定理の形は見えてきましたが、KENT研究は、やっと入り口に立ったに過すぎないのです。
しかし、具体的な問題提起ができた時点で、解決は時間の問題だけになります。

その時間が、1年なのか?10年なのか?
それはわかりませんが・・・。

第5章 まとめ

12KENに始まり、20KEN、そして、KENの一般理論であるKENTへと研究を進めてまいりました。
ここまでたったの半年しか経っていないのは自分でも驚きです。

私が、12KENをKENTに昇華する際に、特にみなさんに知ってほしかったことが二つあります。
一つは、”人間にしかできないこととは何か?”
そしてもう一つは、”数学とは何か?”
についての私なりの答えです。

5-1 数学とは何か?

12ケスエーテルネットワークで次元トンネル開通!(2018/2/26)という記事に於きまして、
初めて12KENという概念が登場したのですが、今振り返りますと、BKETを構成することができたことが全てであるように思えます。
出来上がった一般理論から、BKETを論理的に導こうとしてもできないということから、これこそが、KEN理論の公理に当たるということが研究が進むにつれてわかってきました。
ROSやRORの考え方がなければKEN構造は永久に見つけることができなかったでしょう。
ROSやRORの発想は、数学ではなく、”直感に基ずく考察”です。

つまり、数学、理論といえども、それを作るためには直感(身体知に基ずく叡智)が必要なのです。
したがって、数学を創造する者は、数学や論理の外にいるもののことを言うのであり、数学をする者(計算や応用)と同じではないということです。

計算や応用においては、すでにコンピューターにかなわないでしょう。
しかし、ROSやRORの概念に基づいたBKET、及び、12KENの発見はAIが如何程に発達しようが、その発見は不可能でしょう。

何故ならば、AIは、身体知を持たないからです。
AIは言うならば、人間の前頭葉だけの能力を取り出し、強化発展させたものです。
つまり概念操作が可能なアルゴリズムさえ存在していれば、意味も導出方法も理解していなくても、人間よりもはるかに短い時間で結論に到達することはできますが、ただそれだけのことに過ぎないのです。
しかし、人類は、人工知能の限定された能力のほうに、自らを寄せていっているように私には見えます。

5-2 人間にしかできないこと

12KENに始まり、20KEN、そして、KENの一般理論であるKENTへと研究を進めてまいりました。
ここまでたったの半年しか経っていないのは自分でも驚きです。
私が、12KENをKENTに昇華する際に、特にみなさんに知ってほしかったことが二つあります。
一つは、”人間にしかできないこととは何か?”
そしてもう一つは、”数学とは何か?”
についての私なりの答えです。

12ケスエーテルネットワークで次元トンネル開通!(2018/2/26)という記事に於きまして、
初めて12KENという概念が登場したのですが、今振り返りますと、BKETを構成することができたことが全てであるように思えます。
出来上がった一般理論から、BKETを論理的に導こうとしてもできないということから、これこそが、KEN理論の公理に当たるということが研究が進むにつれてわかってきました。
ROSやRORの考え方がなければKEN構造は永久に見つけることができなかったでしょう。
ROSやRORの発想は、数学ではなく、”直感に基ずく考察”です。

つまり、数学、理論といえども、それを作るためには直感(身体知に基ずく叡智)が必要なのです。
したがって、数学を創造する者は、数学や論理の外にいるもののことを言うのであり、数学をする者(計算や応用)と同じではないということです。

計算や応用においては、すでにコンピューターにかなわないでしょう。
しかし、ROSやRORの概念に基づいたBKET、及び、12KENの発見はAIが如何程に発達しようが、その発見は不可能でしょう。

何故ならば、AIは、身体知を持たないからです。
AIは言うならば、人間の前頭葉だけの能力を取り出し、強化発展させたものです。
つまり概念操作が可能なアルゴリズムさえ存在していれば、意味も導出方法も理解していなくても、人間よりもはるかに短い時間で結論に到達することはできますが、ただそれだけのことに過ぎないのです。
しかし、人類は、人工知能の限定された能力のほうに、自らを寄せていっているように私には見えます。

小野田智之  2018/7/4

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